かっこ21
二次創作の妄想ブログ。あらゆる物に関係なぞあるわけない。
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怖さの中にある美しさ。
美しさがあるから酷くぞっとする。
ちょっとグロ注意です。
美しさがあるから酷くぞっとする。
ちょっとグロ注意です。
ほんの数日前のことでございます。
いつもの通り、薬草を山へ摘みに参りました私は、不運なことにとても気味の悪いものと遭遇したのでございます。
それはそれはおぞましい物でございました。
手足はところどころ千切れ、肉がどろどろと溶けている部分さえあるのです。
それは到底、人間と呼べるものではございませんでした。
骨が見え隠れする四肢が私へ向かい伸びてくるのです。こちらへと誘うのです。
さあさあと。
私は背筋が冷たくなり、震えあがりました。
行ってはならない、行ってはならないと思いつつも、その見れたものではない四肢が手招くのを眺めていると、不思議なことに目が離せないのです。
まるで。
吸い込まれるように。
そしてそれは言うのです。
「目をくれ」
「耳をくれ」
「鼻をくれ」
「手をくれ」
「足をくれ」
「体をくれ」
私は首を必死に横へと振りました。
出来ません、出来ませんと。
押し問答はしばらく続きました。
気づくとそれは崩れ落ちており、私はその場へとへたり込んでいたのです。
慌ててわが身を確認しました。
足りぬものはないかと。
幸いに私は何も失ってはおりませんでした。
そして安心すると逃げるように帰りました。
一刻も早く、その場を去りたかったのでございます。
あすこにいつまでも留まっていたら、体を奪われてしまう。そんな恐怖が私を支配していたのです。
恐ろしや、恐ろしやと身を震わせ、足を走らせました。
どのくらい走ったのでしょう。
あたりは真っ暗。
鬱蒼と木々が生え、空を覆い隠すように聳えていたのです。
見覚えがない場所、なおかつ、太陽はおろか月も星も何も見えない場所にたどり着きました。
はあはあと息が上がり、私の肩は上下しておりました。
あの恐ろしいものがいないか、私は幾度となく振り向き、左右へ注意を払い、安全を確認しました。
いません。
そこには何も恐ろしいものはございませんでした。
ほうっと息を吐き、私はすっかり安心しました。
その後、疲労の残る足を引きずりながら、帰途へ着きました。
方向など分かりません。
私は勘を頼りに進んでいました。
そんなこと慣れておりましたから、なんの不安も疑問も無く進みました。
そんなことをしたせいでしょうか?
私は気がつくと、元の、あの恐ろしいものへ出会った場所へと戻っていたのです。
寸分違わず、その、出会った立ち位置で気づいたのです。
何故私は途中で気付かなかったのでしょう?
何故、通り過ぎる前に気づいたのでしょう?
私の背中はまたぞっと冷たくなったのでございます。
恐ろしさに身を震わす私をからかうかのように、ズルッズルッと厭な音が聞こえてきました。
何かを引きずるような、まるで地べたを不器用に這っているような音でございました。
私は恐ろしくて堪らなくなりました。
逃げようにも、すっかり疲弊した足は全く動かないのです。
それどころか、あろうことにスルスルと力が抜け、私はその場へとへたり込んでしまったのです。
そうしている間にも音は次第に私のそばまで迫っていました。
ああ、神様、仏様。
信じているわけではございませんが、どうか御助けを、と必死に祈りました。
神様仏様神様仏様。
どうかどうか後生でございますから。
ああ、御助けを、御助けを!!
「目をくれ」
非道にも恐れていた声が聞こえてきたのです。
あの時と同じおぞましい声でした。
「耳をくれ」
出来ません、出来ないのです。
どうかご理解くださいませ。
私はあなたに差し上げられるものなど持っておりませぬ。
あなたが望むものを差し上げられないのです。
私は必死にそう叫びました。
驚くほど震えた声でございました。
すると、どうでしょう。
あのおぞましい声がぴったりと止んだのです。
助かった・・。
そう思いました。
これで助かった、分かってくださったのだと。
ほうっと安堵の息を吐き、目を閉じました。
帰ろう・・。
帰って湯につかり、温かい布団で寝よう。
私は今からの行動を頭の中で想像しました。
それはそれは穏やかで、幸せな想像でございました。
しかし想像は想像でしかないのです。
さて、帰ろうと目を開けたときでした。
目の前にはドロドロに溶けかけた顔が迫っていたのです。
私は驚くこともできませんでした。
ただ。
ああ、死ぬのか。
そう思ったのです。
「くれぬのか」
溶けた顔はそう言いました。
酷く悲しそうな声でした。
「くれぬのなら、お前も、連れていく」
そう呟くとべとべとヌルヌルした四肢ともいえぬものが巻きついたのです。
ああ、連れて行かれる。
私の四肢は弛緩し、身動き一つ取れませんでしたし、取る気も起りませんでした。
強く目を閉じ、行く末を想像しては恐怖に震えておりました。
どのくらいたったでしょう?
私は気付くとサクサク道を進んでいました。
手には微かなぬくもりがあり、こっちへこっちへと引っ張っていました。
それに連れられ、抵抗するでもなく私は素直に付いて行っているのです。
酷く安心するぬくもりでございました。
暫くすると道が開け、見覚えのある場所へと辿りつきました。
その道をまっすぐ行けば帰れる。
私は言いようのない気持ちになりました。
安心したと同時に、ここまで連れてきてくれたのは誰なんだろうと不安に駆られたのです。
ぎゅうと握られている手を見ると、そこにはぬくもりがあるのに、手がありませんでした。
厳密に言うと、手はあるのです。
ただ、肉が無い、ただの骨なのです。
私はハッとしました。
その先を目で辿り、私は私を連れてくれた人の正体に気づきました。
「で、それがコーちゃんだとでも言うのかい?」
雑渡さんはそうお茶をすすりながら聞いてきた。
「ええ、きっとそうです。コーちゃんでしたよ。それに僕が部屋に戻るとコーちゃんは泥で少し汚れていましたしね」
「君はそれを不可思議なものに襲われた怪談として話すのか、己の持ち物が己を助けてくれたという美談として話すのか、その回答によっては私はひどく恐ろしくなるよ」
雑渡さんはそういうとコーちゃんを見つめた。
それに照れるようにコーちゃんはカタカタと骨を鳴らしたのだった。
その光景が酷くおかしくて、ふふっとつい、笑いがこぼれた。
「さあ、どちらに聞こえました?」
いつもの通り、薬草を山へ摘みに参りました私は、不運なことにとても気味の悪いものと遭遇したのでございます。
それはそれはおぞましい物でございました。
手足はところどころ千切れ、肉がどろどろと溶けている部分さえあるのです。
それは到底、人間と呼べるものではございませんでした。
骨が見え隠れする四肢が私へ向かい伸びてくるのです。こちらへと誘うのです。
さあさあと。
私は背筋が冷たくなり、震えあがりました。
行ってはならない、行ってはならないと思いつつも、その見れたものではない四肢が手招くのを眺めていると、不思議なことに目が離せないのです。
まるで。
吸い込まれるように。
そしてそれは言うのです。
「目をくれ」
「耳をくれ」
「鼻をくれ」
「手をくれ」
「足をくれ」
「体をくれ」
私は首を必死に横へと振りました。
出来ません、出来ませんと。
押し問答はしばらく続きました。
気づくとそれは崩れ落ちており、私はその場へとへたり込んでいたのです。
慌ててわが身を確認しました。
足りぬものはないかと。
幸いに私は何も失ってはおりませんでした。
そして安心すると逃げるように帰りました。
一刻も早く、その場を去りたかったのでございます。
あすこにいつまでも留まっていたら、体を奪われてしまう。そんな恐怖が私を支配していたのです。
恐ろしや、恐ろしやと身を震わせ、足を走らせました。
どのくらい走ったのでしょう。
あたりは真っ暗。
鬱蒼と木々が生え、空を覆い隠すように聳えていたのです。
見覚えがない場所、なおかつ、太陽はおろか月も星も何も見えない場所にたどり着きました。
はあはあと息が上がり、私の肩は上下しておりました。
あの恐ろしいものがいないか、私は幾度となく振り向き、左右へ注意を払い、安全を確認しました。
いません。
そこには何も恐ろしいものはございませんでした。
ほうっと息を吐き、私はすっかり安心しました。
その後、疲労の残る足を引きずりながら、帰途へ着きました。
方向など分かりません。
私は勘を頼りに進んでいました。
そんなこと慣れておりましたから、なんの不安も疑問も無く進みました。
そんなことをしたせいでしょうか?
私は気がつくと、元の、あの恐ろしいものへ出会った場所へと戻っていたのです。
寸分違わず、その、出会った立ち位置で気づいたのです。
何故私は途中で気付かなかったのでしょう?
何故、通り過ぎる前に気づいたのでしょう?
私の背中はまたぞっと冷たくなったのでございます。
恐ろしさに身を震わす私をからかうかのように、ズルッズルッと厭な音が聞こえてきました。
何かを引きずるような、まるで地べたを不器用に這っているような音でございました。
私は恐ろしくて堪らなくなりました。
逃げようにも、すっかり疲弊した足は全く動かないのです。
それどころか、あろうことにスルスルと力が抜け、私はその場へとへたり込んでしまったのです。
そうしている間にも音は次第に私のそばまで迫っていました。
ああ、神様、仏様。
信じているわけではございませんが、どうか御助けを、と必死に祈りました。
神様仏様神様仏様。
どうかどうか後生でございますから。
ああ、御助けを、御助けを!!
「目をくれ」
非道にも恐れていた声が聞こえてきたのです。
あの時と同じおぞましい声でした。
「耳をくれ」
出来ません、出来ないのです。
どうかご理解くださいませ。
私はあなたに差し上げられるものなど持っておりませぬ。
あなたが望むものを差し上げられないのです。
私は必死にそう叫びました。
驚くほど震えた声でございました。
すると、どうでしょう。
あのおぞましい声がぴったりと止んだのです。
助かった・・。
そう思いました。
これで助かった、分かってくださったのだと。
ほうっと安堵の息を吐き、目を閉じました。
帰ろう・・。
帰って湯につかり、温かい布団で寝よう。
私は今からの行動を頭の中で想像しました。
それはそれは穏やかで、幸せな想像でございました。
しかし想像は想像でしかないのです。
さて、帰ろうと目を開けたときでした。
目の前にはドロドロに溶けかけた顔が迫っていたのです。
私は驚くこともできませんでした。
ただ。
ああ、死ぬのか。
そう思ったのです。
「くれぬのか」
溶けた顔はそう言いました。
酷く悲しそうな声でした。
「くれぬのなら、お前も、連れていく」
そう呟くとべとべとヌルヌルした四肢ともいえぬものが巻きついたのです。
ああ、連れて行かれる。
私の四肢は弛緩し、身動き一つ取れませんでしたし、取る気も起りませんでした。
強く目を閉じ、行く末を想像しては恐怖に震えておりました。
どのくらいたったでしょう?
私は気付くとサクサク道を進んでいました。
手には微かなぬくもりがあり、こっちへこっちへと引っ張っていました。
それに連れられ、抵抗するでもなく私は素直に付いて行っているのです。
酷く安心するぬくもりでございました。
暫くすると道が開け、見覚えのある場所へと辿りつきました。
その道をまっすぐ行けば帰れる。
私は言いようのない気持ちになりました。
安心したと同時に、ここまで連れてきてくれたのは誰なんだろうと不安に駆られたのです。
ぎゅうと握られている手を見ると、そこにはぬくもりがあるのに、手がありませんでした。
厳密に言うと、手はあるのです。
ただ、肉が無い、ただの骨なのです。
私はハッとしました。
その先を目で辿り、私は私を連れてくれた人の正体に気づきました。
「で、それがコーちゃんだとでも言うのかい?」
雑渡さんはそうお茶をすすりながら聞いてきた。
「ええ、きっとそうです。コーちゃんでしたよ。それに僕が部屋に戻るとコーちゃんは泥で少し汚れていましたしね」
「君はそれを不可思議なものに襲われた怪談として話すのか、己の持ち物が己を助けてくれたという美談として話すのか、その回答によっては私はひどく恐ろしくなるよ」
雑渡さんはそういうとコーちゃんを見つめた。
それに照れるようにコーちゃんはカタカタと骨を鳴らしたのだった。
その光景が酷くおかしくて、ふふっとつい、笑いがこぼれた。
「さあ、どちらに聞こえました?」
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