2009/01/14 (Wed) 自宅遭難

中身が浮かばないと言った割に、意外とちゃっちゃっと浮かんだので書きました。
まだプロローグです。

その日からおれは、遭難者になることを決めた。


自宅遭難　プロローグ

世の中は不平等。
そんなことは随分と昔に知っていた。ただ認めたくなくて、目をそらしていただけだ。
だって頭のいいやつは遊んでいても勉強ができる。スポーツのできるやつは努力が必ず実る。生まれつき良い顔で生まれたやつは無条件にモテるし、金持ちは苦労を知らない。
生まれる環境、親の遺伝子。それで人生決まるんなら、おれは人生負け組。
出来る奴は言う。「才能だ」と。
出来ない奴は言う。「努力が足りない」と。
違う違う。
努力して成功するなら、成功する才能を持ってただけ。努力が実らない奴は、そういう才能をもち合わせてなかっただけの問題。ほうら、簡単に勝ち組と負け組が分かれた。
世の中の仕組みって、こんなもんさ。
こんな中、平等を求めるのって変だ。
だって、平等にしたって、頭の良さに差は出るし、運動神経なんて火を見るより明らか。
平等にしたって、人間全部違うんだろ？だから意味ない意味無い。平等にしろって言っている奴は、こんな簡単なことも知らないんだ。アホらしい。


おれは現在25歳のフリーター。名前は閻魔円。まどかちゃん。こんな名前つけんな！


いつごろ、こんなに捻くれまくったかというと、高校の時。
勉強をやってもやっても、担任からは真面目にしろだの、親からは勉強しろだの言われまくるし、やっても成果は一向に見られない。
ある日こう思った。
勉強が出来ない才能を持ってると。
我ながらアホすぎる結論だけど、妙にしっくりきて、それを思いついて以来勉強とはおさらばした。
大学は地元の偏差値低いところ。何がしたいわけでなく、何となくで卒業。就職活動の価値を見いだせず、ニート。ニートはさすがに・・・と思ってフリーター。
高校の時、勉強が出来ない才能を持っていると気づいたおかげで、この有様だった。
人間ってのは、面白いくらいダメになる。
ちょっと諦めただけで、次々にダメになっていくから、ダメになるスピードは計り知れない。これ経験談。
そんで、フリーターとして、地味に働いていたおれはバイト帰りの道で近所のおばさんにこう言われた。

「確か、円くんはフリーターよね。もうそろそろ、しっかりしたら？」


大きなお世話じゃ。お前の家の坊ちゃんなんか不登校の引きこもりじゃねーか。
頭にきた。
不平等だ。
自分の息子には何も言わず、他人のおれに指図するオバン。
店長のシフトの入れ方。
新しく入ったバイトの顔。
ぜんぶぜーんぶ、大嫌いだ。
俺が何をした。迷惑掛けたか。やってらんねーよ。店長は無理だって言った日に入れるし、新入りはジャニーズ系の顔でおれのことを馬鹿にする。フリーターの何が悪い。


決めた。おれ、遭難するわ。