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かっこ21

二次創作の妄想ブログ。あらゆる物に関係なぞあるわけない。

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思いつきにも程がある。
天国組のお話です。
途中で飽きて、結構尻切れトンボ状態です。
眠い・・・。
これはずっとずっと昔の話。
僕が、出会った変な話。



白い足



地獄は相変わらず殺伐であり混沌としていた。
周りからは叫び声、怒鳴り声、泣き声。あらゆる声声声が耳を貫いた。
激しく荒げる声から囁くように小さく響く声。
その一つ一つに耳を預けようものなら、僕の耳はあっという間にちぎれてしまうだろう。
鬼としては、人間の苦しそうな顔、脂汗の滴る四肢、悲痛な叫び、このすべてを悦びとして感じるべきなのだろう。
だけど、なぜか僕にはそれができない。
そのすべてに、痛みを覚えるだけだった。
他の鬼からは馬鹿にされる日々。
勉強ばかりしているからだ。
どうだ、勉強は勉強でも、拷問という学問を勉強しないか。
文字を眺めるだけでは、仕事にならんぞ。
それを学んでどうする。
閻魔大王様のもとにでも行くつもりか。
無理だ無理だ。
選ばれた、ほんの一握りの鬼にしか行けない場所。
お前なんかが、勉強しかしなかったお前なんかが行ける場所じゃねえ。
幾度なく繰り返された言葉だった。
確かに、僕は閻魔大王のもとへ行きたいと感じている。
それは、そうだ。
大王様の偉大さは、身に染みるほど感じている。
こんな場所を統括し、鬼も全て従える。この世界すべて。
大王様に近づきたい。
ただ、純粋な憧れだった。
けれど。
行けられるわけがない。
ほんの一握り。
行けるのは、ほんの一握り。
生まれたときに決まると皆は言っていた。


僕は途方にくれながら、地獄の中を歩き回った。
中には幼い子もいて、どうも居たたまれない。
すぐに目をそらして、じっとうつむいてしまった。
「うつむいては見たくないものも、見たいものも見えなくなってしまうよ」
その声は目の前から聞こえてきた。
先ほどまで、自分の目の前には誰もいなかった気がしたのに、うっすら顔をあげると、ひょろりとした細く白い足が見えた。
「見たくないものから目をそらすのは簡単だし、そうすれば苦しくなくなる。だけど、そらしてる内に、悪化していくのも、これまた事実」
声は続けて聞こえてきた。
まるで僕の反論を許さないかのように。
「お、鬼の仕事から目を、目を背けるな、ということですか」
声が少し震えていた。
顔をしっかりあげることさえできない。
その白く細い足を見るだけでも、なぜか、頭を垂れておかなければならない気がしたからだ。
「君の言う鬼の仕事って何?」
「・・・罪を犯した人間たちに罰を与えることです」
「君はそれから目をそむけてるの?」
「・・・はい。人間たちの苦しむ姿を見ると、どうも堪えきれません」
こんなことをスラスラ話してしまう自分が情けなくて仕方がなかった。
鬼として、根本的に自己否定をしたからだ。
きっとこの足の持ち主はだめな鬼だと呆れていることだろう。
しかし、その声は僕の考えとは裏腹な言葉を発した。
「優しくて、頭のいい鬼だね」
「え」
声は柔らかく、そして何よりも静かだった。
「ぼ、僕は優しくも、頭が良くもありません。ただ、ふがいない、情けない鬼です」
「・・俺ね、今までいろんな鬼に聞いてきたんだ。『鬼の仕事って何?』ってね」
「はあ・・」
「みんなどう答えたと思う?」
「え」
「みんなね、『人間を苦しめることだ』って答えたんだ」
「・・・」
「でも、君は違ったね。『罪を犯した人間に罰を与えること』と答えた。この違いってとても大きいね。罰を与え、罪滅ぼしをさせることと、ただ人間を苦しめること。苦しめて、苦しめて、それで喜んだり、仕事の達成感があったり、それって、罪を犯した人間とおんなじじゃない?そんなことが仕事って、そりゃたまらないよ。鬼は人間を苦しめるために居るんじゃない、罰を与えるために居るんだ」
「・・・」
「それがきちんとわかっている君は、頭のいい子だよ」
「・・・・」
僕は黙りこくった。
罰は苦しみだ。罰を与えるということは苦しみを与えること。僕の返答は得てして他の鬼と変わらない気がしてならない。
なのに、この人はどうして上げ足を取るようなことを言い、僕を褒めるのか、全く理解できなかった。
白い足は踵を返すと、少し軽い足取りで、少し前へと進んだ。
「なーんか、気に入った。君のこと」
「え」
「なかなか、こういう子、いないからねえ」
「・・・ていうか、あなた誰ですか?」
「おおぅ、今さら?そうさねえ、今言わなくとも、いずれ分かるよ」
「は」
「近々君がおれの元へ来るからね」
「え、ちょ」
「じゃあね」
そんなことを言うと、足は薄くなり、消えた。
咄嗟に頭をあげると、そこには誰もおらず、先ほどまで静家だったのが嘘のように、叫び声で包まれたやかましい空間へと変化していた。





「大王様、勝手に出られては困ります」
「ごめんごめん、ほら、前の秘書、居なくなっちゃったでしょ?」
「ええ」
「だから、次の秘書探しにね、行ってたの」
「はあ、いい鬼は居ましたか?なかなか大王様のお眼鏡にはかなわないでしょうに」
「一人ね、いい子いたよ。あの子にする」
「おや、珍しい」



その足に再び会ったのは、次の日の午後。
セーラー服にうっとりしている、足の持ち主と僕は、なんとも奇妙な雰囲気の中で、顔を合わせたのだった。





――-----------------------------
鬼男くんが秘書になる前。がり勉ヘタレな鬼男くん。
鬼男くんが超エリート街道まっしぐらでも良いんですが、周りと価値観がずれていて、落ちこぼれて、自信のない子でも中々キュンとします。
自信の無い鬼男くんをひっぱりあげるというのも、閻魔としてはおいしい役回りだと思うと、ニヤニヤが止まりません。

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    女性
    職業:
    大学生
    趣味:
    ピアノ・読書・妄想
    自己紹介:
    ただの変態です。ただそれだけです。
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